このコンテンツは、"歴史遺産"を戯れに復活させてみただけのものです。
今となっては、何ら実用性はありません。リンクなどもほとんど機能していないでしょう。
もし、WinShellなどとても古い環境をどうしても使わなければならないなどの事情があれば、
多少は参考になるかもしれません。
2018.01.30

10.卒論クラスファイルについて

10-1.このページについて

 このページでは、心理学科専用の、(プレ)卒業論文作成用クラスファイル(Ver. 20041218, ZIP)の解説をおこないます。また、卒論など、これまで解説してきた基礎実験のレポートよりも長く、構成が複雑な文書を作成する際に使用するコマンドについても紹介します。ちなみに、私が実際に卒論に使用したものは、さらにカスタマイズを加えています。

2009.1.18 すでに卒論シーズンは過ぎてしまいましたが、このページで述べているいくつかの課題を解決したmysotsuron2008.clsを作りました。これから卒論を作成する際には、こちらを利用したほうが便利でしょう。詳しい変更点については筆者の日記でご確認ください。

10-2.卒論の体裁について

 はじめに、TeX でやるやらないに関わらず心理学科の卒論に要求される体裁について説明します。正確な情報は、学科講義要項を参照していただくとして、ここでは主な要件を列挙することにします。

 そして、上の要件を充たすように、具体的に TeX のパラメータを設定したものが卒論クラスファイルです。

10-3.クラスファイルの使い方

10-3-1.クラスファイルの入手とインストール(?)

 それではクラスファイルの使い方について解説していきましょう。まずは卒論クラスファイルをダウンロードし、適当なフォルダに保存します。これは、クラスファイル類をまとめて圧縮した ZIP ファイルなので、+Lhaca などの解凍ソフトで展開してください。Windows XP では、何もしなくてもダブルクリックすれば展開できるかもしれません。展開すると、保存先のフォルダの中に mysotsuron というフォルダができていると思います。それを開くと、中にはクラスファイルやサンプルなど、6つのファイルが入っています。

archive



folder

 このうち、mysotsuron.cls が卒論クラスファイルの実体です。極端な話、これだけあればすぐに卒論の体裁を充たした文書が作成できますが、まずは README やサンプルの PDF などをじっくりご覧下さい。また、実際に卒論を書かれる際には、別に mysotsuron フォルダの中で作業する必要はありません。卒論本体があるフォルダの中に mysotsuron.cls をコピーすればすぐ使えます。テクニックのある人であれば、それこそどこに置いても使えます。いちおう、標準のインストール場所は、/usr/local/share/texmf/ptex/platex/ 下を想定しています。

10-3-2.使用法(ソースの書き方)〜前半

 では卒論クラスファイルを使用して実際に卒論を書く方法について説明していきます。まずは、mysotsuron フォルダの中の、sample.tex を開いてください。このファイルに、卒論の基本的な(と思われる)構造でサンプルソースが書かれています。以下に、特に説明が必要だと思われるプリアンブル〜本文冒頭のソースを抜粋します。

\documentclass{./mysotsuron} % クラス名は今のところ mysotsuron

\usepackage[dvips]{graphicx} % EPS しか取り込まないならオプションは
                             % dvips。JPEG とか PNG を使うなら dvipdfm
                             % か dviout で。

%\usepackage{amsmath}%お好みで
%\usepackage{txfonts}%お好みで

\title{阪神優勝に伴うファンの精神状態の変化について} % 論文タイトルは20文字以内
\bango{LP13--0050B} % 学籍番号を入力するコマンド
\author{田中 健太} % 自分の名前
\supervisor{上田 次郎 教授} % 指導教授の名前
%\date{} % 日付は空白で

\begin{document}

\maketitle
% これで配布される卒論の表紙にそっくりなものが出力できる。

% 目次の出力
\tableofcontents

\section{序文}
これは意味のないサンプルテキストです。

 では順に解説していきます。まず、1行目の \documentclass{./mysotsuron} で卒論クラスファイルを読み込んでいます。“./”(ドットスラッシュ・笑)としているのは、環境変数が指示する、標準のクラスファイル収納フォルダ(/usr/local/texmf/ 以下)ではなく、このフォルダにある mysotsuron.cls を読み込め、という指定です。これがないと、「ファイルが見つからない」とエラーが出るかもしれません。
 次に、\usepackageコマンドで必要なパッケージ類を読み込んでいます。ここには、それぞれが使用したいものを自由に追加してください。単にグラフを数個入れるだけであれば、すでに書かれてあるgraphicx パッケージだけで充分だと思います。
 それから、表紙にタイトルや著者を出力するためのコマンドがいくつか並んでいます。このうち、\title,\author については一般的な TeX におけるそれと同じです。\date コマンドは必要ありません。
 \titleについては、コメントにも書いてあるように、タイトル標準の文字サイズで24文字を超えると、自動的に折り返します。ただし意味的に正しい区切りで折り返すわけではないので、変なところで折り返される場合には、適宜 \title{すっごーーーーーく長い \\ タイトルなんですぅぅぅぅ} というように、改行を補ってください。ちなみに、これまでで一番長いタイトルは「集団凝集性の高・低の認知と平常時のリーダーシップ行動の違いがリーダーの緊急異常事態対処行動に対する成員の態度の知覚に及ぼす影響」のようです(^^;)実に65文字…。

overflow title
はみ出ます。→はみ出ない ように修正しました。
justify title
強引に収められないこともありません。

 \bango, \supervisor は、卒論クラスファイル特有のコマンドです。\bango には、自分の学籍番号を記入します。LP13--となっているのは、1つでは、TeX で出力されるハイフンが短くて気に食わないからという個人的理由です。\supervisor には、指導教授の名前を記入します。
 これらの情報を充たした上で、\maketitle コマンドを記述すれば、先生から配布されるオフィシャルな表紙と寸分違わぬ表紙が出力されます。
 次に、目次を出力します。 \tableofcontents というコマンドを使うと、TeX が自動で目次を作ってくれます。サンプルをご覧になると、どんなものかわかると思います。目次のページ番号は、ローマ数字(i, ii, iii...)になっています。目次にはページ番号を打たなくしました(20041031)。また、\tableofcontents を実行すると、目次情報を記した .toc ファイルができます。
 ここから先の本文は、これまでの実験レポートと大きな違いはないはずです。指導教授を(もちろんいい意味で)唸らせるような、素晴らしい卒論をガシガシ書いていきましょう!

10-3-3.使用法(ソースの書き方)〜後半

 さて、本文を書いたら、巻末の部分、文献リストや謝辞、実験で使用した質問紙などの付録を作成していきます。そのあたりに関わるソースをまた抜粋します。

\section{要約}
とにかく意味がないことだけは伝わるだろうか。

\newpage % 改ページ
% 引用文献を出力

\begin{thebibliography}{99}

\item 上田 次郎 2004 どんと来い、超常現象 学習研究社

\end{thebibliography}

% 参考文献を出力
\begin{thebooks}{99}

\item 奥村 晴彦 2004 [改訂第三版]\LaTeXe 美文書作成入門 技術評論社

\end{thebooks}

\newpage
% ここからダブルスペースOFF
\syaji

\section*{謝辞}
\addcontentsline{toc}{section}{謝辞}

「ハンシンファンハ、イチバンヤー」:ムーア

「あー、しんどかった」:星野仙一

\newpage

% ここから先のsectionの通し番号は付録xとなります。
\appendix

\section{実験1で使用した質問紙}

%\newpage
\section{作成したプログラムのソースコード}

\end{document}

 まずは引用文献リストです。リストの書き方そのものは、5章で解説しているものと変わりません。卒論レベルであれば、別に BibTeX を使う“必要”はないでしょう。
 次に、参考文献です。卒論では、直接引用はしなかったけど、例えばその分野の入門書や概説、実験手法(プログラムとか)についての参考書をいくつか読むことになるでしょう。それらの本も、参考文献として載せておけば、誰かの役に立つかもしれません。卒論クラスファイルでは、参考文献用に thebooks 環境を用意しています。使い方は thebibliography 環境とまったく同じです。ただ、見出しが「引用文献」「参考文献」と異なるだけです。
 文献リストのあとには、(一般的には)謝辞を載せます。謝辞には別に赤は入らないので、ダブルスペースを解除します。これを実行するのが \syaji コマンドです。また、謝辞は論文本体とは別のものなので、通し番号はつけません。\section*{謝辞} とすれば、通し番号は入りません。が、目次にはきちんと存在を示さないといけないので、 \addcontentsline{toc}{section}{謝辞} と手動で目次情報を記した .toc ファイルに追加します。
 それから、もし実験で使用した質問紙や、大きな図表を添付したい場合は、付録として巻末に載せます。付録は本文ではないので、通し番号を「付録A、付録B」としなければいけません。それを実行するのが \appendix コマンドです(TeX オリジナル)。このコマンド以降の見出しは、「付録」となります。ただし、質問紙の TeX ソースなどをそのまま卒論のファイルに貼り付けても、天地左右のマージンや行送りの関係で、実際に使ったものは再現できないと思います。質問紙は、PS 形式や PDF 形式にして、画像として挿入するほうがよいでしょう。なお、付録におけるページ番号は、ローマ数字(i, ii, iii...)となります。

 これで卒論クラスファイルの使い方は、おおよそ伝わったのではないかと思います。進学する人はこれからもっと長い論文を書くための練習として、就職する人はこれで最後の TeX 文書として、ぜひ卒論を TeX で書いてください。

10-4.レポートより長い文章で使うかもしれないコマン ド

 ここでは、卒論クラスファイルを使う使わないに関わらず、卒論やその他の論文など、比較的大部な文書を作成する際によく使われるコマンドを紹介します。

10-4-1.表紙の出力

 a4一枚のレポートなどならともかく、卒論やちょっとした報告書になると、文書のタイトルや作成者などの情報をきちんと示さなければいけません。LaTeX には表紙作成に関するコマンドがあります。\maketitle コマンドとそれに情報を与えるコマンド群です。はじめに簡単なサンプルを示します。

\documentclass{jsarticle}

\title{世界のホースマンよ見てくれ、これが日本近代競馬の結晶だ!}
\author{馬場 鉄志}
\date{2005年10月23日}

\begin{document}

\maketitle

\section{大地が、大地が弾んでミスターシービー!}
...

\end{document}

このように入力しタイプセットすると、以下の図のように出力されます。

result of title output
\maketitleの出力結果

 それでは各コマンドについて説明します。\title コマンドには、文書のタイトルを記述します。\author コマンドには文書の著者名を記述します。\date コマンドでは日付を出力することができます。\title, \authorコマンドでは、改行(\\)やフォントの変更(\textbf, \textttなど)を用いてデザインを変更することができます。以下に簡単な例を示します。

\documentclass{jsarticle}

\title{\textbf{後ろからはなんにも来ない! テスコガビー!!}}
\author{{\normalsize 元関西テレビアナウンサー}\\
{\Large 杉本 清}\\
\texttt{sugimoto@somewhere.org}}
\date{\today}

\begin{document}

\maketitle

...

\end{document}

このように入力しタイプセットすると、以下の図のように出力されます。

customized title
\maketitleのカスタマイズ

 この例では、タイトルを\textbfでゴシック体(正確には太明朝の代替)に、著者の肩書きを少し小さく(本文サイズ)、著者名を大きくし、メールアドレスをタイプライタ体で出力するようにしています。また、\date コマンドに\todayというコマンドを引数として与えると、コンパイルをおこなった日の日付が、標準では“2005年12月1日”という書式で出力されます。

 ところで、これまでの例ではタイトルは本文と同じページに出力されています。これを“表紙”として別のページに出力するには、\documentclass のオプションとして titlepage を与えます。つまり以下のようになります。

\documentclass[titlepage]{jsarticle}

...

\end{document}

10-4-2.目次の出力

 つぎに、目次を出力する方法を紹介します。これも、コマンドを一つ書くだけで簡単に実現できます。\maketitle のあとあたりに、

\documentclass{jsarticle}

\begin{document}

\maketitle

\tableofcontents

...

\end{document}

というコマンドを書き込めばよいだけです。これで、文書の見出し(\section, \subsection,...)を一覧にして出力してくれます。なお、この処理は、一度コンパイル→目次にするための情報を .toc ファイルに書き出し→二回目のコンパイルで .toc ファイルから読み出して目次に反映、という手順を踏みますので、必然的に複数回のコンパイルが必要となります。また、jsarticle などのクラスファイルでは、目次に出力する見出しの深さ(TeX では節の中に小節があって、その中に小々節が、という入れ子構造が強く指向される)は、\subsectionまでになっていますが、これを \subsubsection まで出力するようにするには、目次にsubsectionも出力するにはなどを参考に、tocdepth というカウンタを操作します。

10-4-3.まえがき、あとがきの体裁

 まえがき(含目次)やあとがきのあるような文書を作る場合には、構造的に本文と分離するという意味で、独立したページ番号を用いたり、その表示方式を変えるということがおこなわれます。例えば、まえがきではローマ数字のページ番号(I, II, III...)を使い、本文の開始ページで番号をリセットして1ページからはじめる、というようなものです。このような設定は、カウンタという変数を用いて明示的に指定することもできますが、jsbook などでは、そのような処理をまとめておこなってくれるマクロがすでに定義されています。 \frontmatter, \mainmatter, \backmatter というコマンドがそれです。使いかたは以下のようになります。

\documentclass{jsbook}

\begin{document}

\frontmatter % ここからまえがき
\maketitle
\tableofcontents

\chapter{序}

\mainmatter % ここから本文
\chapter{\LaTeX とは}
...

\backmatter % ここからあとがき
\chapter{謝辞}

\end{document}

 このようにすることで、ページ番号のリセット、デザインの変更などを自動的におこなってくれます。

10-5.今後保守あるいはカスタマイズをおこなおうという方へ

 このクラスファイルは、心理学科(というか HIP ユーザ)の先輩方が作り、代々受け継いできたものです。だから、というわけではなく(個人的にはそういう考えキライ)、実用性の面から、今後もカスタマイズがおこなわれ、より良いものになっていくことを願っています。そこで、この節では、これまでのクラスファイルに筆者が加えた改良(“良”であって欲しいなぁ)についての情報と、今後の課題、ちょっとした注意点を記録しておくことにします。なお、従来のクラスファイル群のほうを使いたい、という方は、HIP ユーザのディレクトリの中にあると思いますので、個人的にお探しください。Windows で使用するには、文字コードの変換など、いくつかの作業が伴います。

筆者が加えた改良

今後の課題および注意点


ひとつ前にもどる  つぎに進む
目次にもどる