このコンテンツは、"歴史遺産"を戯れに復活させてみただけのものです。
今となっては、何ら実用性はありません。リンクなどもほとんど機能していないでしょう。
もし、WinShellなどとても古い環境をどうしても使わなければならないなどの事情があれば、
多少は参考になるかもしれません。
2018.01.30

5.いよいよレポートを作成する

5-1.基礎実験IIレポートの体裁

 これまでの説明で TeX についての基本的な部分はおわかり頂けたと信じていますから、ここからは実際に TeX で基礎実験のレポートを作るときの手順や注意すべき点などを説明していきたいと思います。
 はじめに、TeX に限ったことではないですが基礎実験のレポートはどんな書式で作成しなければならないか、というフォーマットについて説明します。「基礎実験 II 手引き」によれば、レポート作成時に特に注意すべき点は以下のとおりです。

 ではこれらの注意点に従ってレポートを作ってください…と言いたいところですが、これらのレイアウトに関するコマンドを毎回毎回まっさらなファイルに書き込んでいくのは面倒です。そこで、あらかじめ基礎実験レポートの体裁を設定した「もと」ファイルを作っておけば、全てのレポートが同じレイアウトで出力できますし、よく使う図や表などのコマンドを書き込んでおけばコマンドを打つ必要もなく、より快適にレポートを作ることができます。ではそのもとファイルを作っていきましょう。

5-2.くりかえし使えるもとファイルを作っておこう

 作っておこう、というか作っておきました。ここから先は私が使っている基礎実験用もとファイル(kj2basefile)の中身について説明していきますので、上のリンクからファイルをダウンロードしてください。保存先は心理学科端末室なら Z ドライブ、自分のパソコンならどこか適当なディレクトリに保存してください。
2005. 3.20 移転先の Geocities は .tex ファイルのアップロードができないので、拡張子を変えて(.txt)います。使用する際には拡張子を .tex にリネームしてください。
保存したkj2basefile.tex をダブルクリックすると WinShell が起動します(WinShell がない場合はメモ帳などで開いてください)。

 基礎実験のレポートにこのもとファイルを使う場合は、書き始める前に別のファイルに名前を変えて保存することを忘れないでください。そうしないともとファイルを繰り返し使うことができません。方法は [File] メニューの中の [Save as...] をクリックすると保存場所とファイルの名前を聞いてくるので、行った実験の名前(expA.tex など)で保存するとわかりやすいでしょう。ちなみに、保存場所も「基礎実験」という大きなフォルダの中に「expA」や「実験 A」などのフォルダを作ってそこに excel のデータや eps ファイル(あとで解説しています)などと一緒にまとめたほうがわかりやすいでしょう。

5-3.実際にレポートを書く

 ではファイルの中身について解説していきましょう。

 まず、\begin{document} の前(プリアンブル)の部分ですが、1行目の \documentclass については4章で解説していますので触れませんが、文字サイズの 12pt は手引きに従って 11pt に書き換えてもかまいません。2行目〜4行目はそれぞれパッケージ(機能)を追加しています。この中では2行目の doublespace がもっとも重要です。これを書くだけで原稿を TeX で処理した際に文章をダ ブルスペースでレイアウトしてくれるようになります。Word より簡単でしょ?3行目の graphicx や4行目の \renewcommand もすでに説明していますので触れません。

 これでプリアンブル部分の説明が終わりました。ここからは実際にレポートを構成する部分、つまりレポートの中身について説明していきます。

 このもとファイルでは序-目的-方法(被験者・材料・手続き)- 結果 - 考察、そして最後に引用文献リストという構成になっています。これは行う実験によっては2つの小実験に分かれていたりするので、そのつど適当に再構成してください。ところで、見出しコマンドの中にある*(アスタリスク)ですが、これを加えると「1.目的」などの節番号を表示しないようになります。レポートでは基本的にこのような番号は必要ないので、新しく節を加える場合でもアスタリスクは忘れないようにしてください。レポートの構成が整ったら、あとは各見出しの下に文章を書いていくだけです。マウスもコマンドも必要ありません。Wordでよくある見出しだけが前のページに残ってしまうなんてことも心配しなくて大丈夫です。TeX が全部勝手にやってくれます。あとはいかに先生や TA の皆さんを唸らせる文章を書くか、だけに集中できます。ちなみに、段落を改めたい場合は、段落の終わりで Enter キーを2回、つまり空白の行を1行はさめば新しい段落が始まります。わざわざ全角スペースで行頭を1文字分下げる必要もありません。それも TeX が自動でやってくれます。いや〜、TeX ってほんっとに、素晴らしいものですね。…と某映画評論家風に言いたくなったでしょ?

ここで注意!

 Windows で TeX を使うときに注意すべきことは、機種依存文字を使用しないということです。機種依存文字とは、Windows では表示されるんだけど、他のコンピュータでは使用できない文字のことです。例えば、「2」を変換しているうちに出てくる「II」や丸付き数字「maru1」、それから半角句読点や半角かぎカッコなどがあります。これらの文字は TeX をかけた時、いっけんエラーなくコンパイルできているように見えますが、実際 dvi ファイルを見てみるとそれらの文字がまったく表示されていなかったり、あるいは文字化けを起こしていることがあります。もちろん、コンパイル中にエラーメッセージが出ることもあります。これらの文字はファイル名にも中身にも使わないようにしましょう。ローマ数字を使いたい場合には、II や IX のようにアルファベットを並べて入力します(こちらが本来の入力方法です)。また、丸付き数字を表示させるには pifont や otf というパッケージを使う方法があります。

 レポートに表を入れる方法図を入れる方法についてはこのあとで説明しているので、ここでは触れません。とりあえず文章を書き終えたら、そのレポートの中で引用した論文や本などを引用文献リストに載せましょう。引用文献は \begin{thebibliography} から \end{thebibliography} の中に書いていきます。\begin の横の{ }は本来リストにつける番号の桁を {9} や {99} のように書いておく部分ですが、レポートでは文献番号はいらないようなので空欄にしておきます。おのおのの文献は著者のアルファベット順に \item[{}](半角スペース)に続いて著者、発行年、文献名、出版社(雑誌名)、引用したページ(244-250の ように)という順番で書いていきます。ここらへんの文献の詳しい書き方については「基礎実験 II の手引き」を参照してください。このうち、洋書のタイトルは斜体に、雑誌からの引用はその巻号を太字で表す決まりになっているので、それぞれ \textit{Japanese always eating TENPURA}, \textbf{63} というふうに書きます。例として、雑誌論文と本の3つを下に書いておきます。各項目間の空白は、\hspace{nzw}や半角ぶんの空白を入れるコマンド〜(チルダ)を使って手動で調節すると、より見栄えが良くなります。

\item[{}] 谷口 高士 1995 音楽作品の感情価測定尺度の作成および多面的感情状態尺度の検討 心理学研究、\textbf{65}、463-470

\item[{}] Treisman,A. \& Souther,J. 1985 Search asymmetry: A diagnostic for preattentive processing of separable features \textit{Journal of Experimental Psychology: General} \textbf{144} 285-310

\item[{}] 上田 次郎 2002 どんと来い、超常現象 学習研究社

さて、これでいちおうレポートの原稿を作る手順は終わりました。これからこの原稿を TeX で処理して実際に提出するレイアウトで表示・印刷という手順に移ります。

5-4.文章が完成したら

 レポートの原稿が完成したら、それをコンパイルして dviout で表示・印刷します。この手順は3章で説明したものと同じです。WinShell のメニューボタンから TeX を呼び出してコンパイルし、dvi ボタンを押して結果を表示します。dvi ファイルを眺めて、誤字・脱字やレイアウトのミスなどがあれば原稿を修正し、再度 TeX をかけます。いくら原稿を修正してももう一度 TeX をかけない限り dvi ファイルに修正点は反映されませんので注意してください。修正が終わればレポートを印刷します。印刷方法もすでに説明したとおりです。

 ここまでで基本的な TeX の使い方は伝わったものと思います。しかし、基礎実験のレポートを作る上では文章以外にもグラフや表が欠かせません。そこで、次からは TeX で図表を扱う方法について説明していきます。


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