このコンテンツは、"歴史遺産"を戯れに復活させてみただけのものです。
今となっては、何ら実用性はありません。リンクなどもほとんど機能していないでしょう。
もし、WinShellなどとても古い環境をどうしても使わなければならないなどの事情があれば、
多少は参考になるかもしれません。
2018.01.30

7.レポートに図(グラフ)を入れるには

7-1.TeXでの画像の取り扱いについて

 ここからはレポートにグラフなどの図を挿入するための方法について説明していきます。はじめに、TeX における図の扱いというか位置付けについて軽く説明します。TeX では文章を書いた原稿のほかにグラフなどの図を一つ一つ別のファイルにしておいて、原稿のほうに「ここにこのファイルをこのサイズで挿入して」というコマンドを書き込んで処理させることで、dvi ファイルに図を表示させる、という方法を取ります。Word のように簡単にマウスで [コピー] して [貼り付け] することはできないので、多少面倒かもしれません。さらに、TeX が扱える画像ファイルの形式は JPEG や GIF のような一般的なものではなく(ちょっとしたことをすれば使えはしますが)、おもに PostScript という仕組みによる EPS(.eps)ファイルを使います。この EPS ファイルは普通にパソコンを使っているうえではまず見る機会のないシロモノですので、EPS ファイルを作ったりそれを見るためには専用のソフトウェアをいくつかインストールしなければなりません。そこでこの章では、Excel の図を PS プリンタに印刷する→できた PS ファイルを GSview で EPS ファイルに変換する→TeX に貼り込む、という実際の手順にそって話を進めていきたいと思います。

7-2.EPSファイルってなに?

 まず EPS ファイルについてちょっとだけ解説します。一言で言ってしまえば、これらのファイルは一種のプログラム言語で記述された画像ファイルです。この形式の利点はどんなに拡大しようが非常に美しい出力が得られることや、基本的にはテキストファイルなのでサイズが小さいことなどが挙げられますが、詳しい解説はAdobe PostScript 公式ページをご覧いただくことにして、ここでは EPS ファイルの作り方について説明します。Windows 上で Excel や描画ソフトで作った図を EPS ファイルにするには、PostScript プリンタドライバに「印刷」するという方法を用います。これは形式上「印刷」ですが、実際のところはグラフなどのデータを PostScript 形式のファイルに変換するという作業です。この作業を Windows アプリケーションの [ファイル] - [印刷] メニューから行うので印刷と呼びます。これを行うためにはその PostScript プリンタドライバをパソコンにインストールしなければなりません。次の「EPS ファイルを作るための下準備」でプリンタドライバと関連するソフトウェアのインストールと設定をおこないます。

7-3.EPSファイルを作るための下準備

7-3-1.PostScriptプリンタドライバのインストール

 はじめにお使いのパソコンに PostScript プリンタドライバ(以下 PS ドライバ)をインストールして、PS ファイルを作ることができるように設定します。まず、インターネットから PS ドライバをダウンロードしましょう。Adobe ダウンロードページからwinstjpn.exe をダウンロードします。[Download] のロゴをクリックし、[保存] を選択し保存先をデスクトップに決めるとダウンロードが始まります。けっこう大きいファイルですので回線によってはそこそこの時間がかかるかもしれません。

ダウンロードが終了したら、デスクトップの psprinter installer アイコンをダブルクリックします。するとセットアッププログラムが起動していくつかの質問をしてきます。だいたいは初期値のままで良いのですが、いくつか必ず設定しなければいけない部分があります。まず、「プリンタの接続方法」は「ローカルプリンタ」にチェックを入れます。

setting psprinter1
接続は「ローカルプリンタ」に!

 つぎに、「ポートの設定」を聞かれますが、必ず [FILE] を選んでください。そうしないとまともに動作しなくなると思います。[FILE] を選ぶことでプリンタドライバを通じて EPS ファイルが作成されます。

setting psprinter2
ポートは [FILE] に!

 その次の「モデルの選択」は Generic(一般的な)PostScript Printer を選択したままでかまいません。次も「共有しない」のままで OK です。
 最後に、プリンタの名前を聞いてきますので、適当に PS とか TeX とか名付けてあげてください。デフォルトのままでも勿論かまわないんですが。その下の「通常使用するプリンタに設定する」については設定しないを選んでおけばいいと思います。「印字テスト」は印字もなにも紙に出力するわけじゃないのでテストはしないようにします。これで「次へ」を押せばインストールが完了するんじゃないかな、と思います。
 インストールが終わったらもうちょっとだけドライバの設定を行いましょう。 startmenu メニューから [設定] - [プリンタ] を開きます。すると printer icon というアイコンがあるはずなので右クリックして [印刷設定] を選択してください。[印刷の向き] は縦にして、右下の[詳細設定]ボタンを押してください。いくつかの項目が表示されたと思いますが、ここで設定しなければいけないのは下の [PostScript オプション] の項目です。文字の左の + を押してツリーを表示させます。その中の [PostScript 出力オプション] を簡易 PostScript(EPS)に設定します。その下の[TrueType フォントダウンロードオプション] は自動かアウトラインに設定しておきます。ここはけっこう重要なので下図を参考に設定をおこなってください。

 [TrueType フォントダウンロードオプション] については、のちのち PDF などに変換するつもりがあるなら [アウトライン] にしておくと、Type 3 のビットマップフォントではなく Type 1 のアウトラインフォントにできるので、品質が向上します。
setting psprinter3
プリンタの設定

 これで PS ドライバが使えるようになりました。このままでも EPS ファイルを作ることはできますが、きれいな形で TeX に挿入するのは容易ではありません。そこで、次に Postscript 形式のファイルを扱いやすくするためのソフトである Ghostscript と GSview をインストールしましょう。

7-3-2.Ghostscript・GSviewのインストール

 Ghostscript とは、PS 言語で書かれた PS ファイルの命令を解釈してビットマップに変換するインタープリタである…なんていうのは別に知る必要はなくてようは PS・EPS ファイルを表示するためのソフトです。「美文書」付属の CD-ROM にも Ghostscript は含まれていますが、なにぶんバージョンが古いので、後述する GSview との関連から、この機会に最新のバージョンをインストールすることをお薦めします。
 また、GSview は基本的にコマンドラインで操作する Ghostscript をマウスによる GUI 操作ができるようにするソフトです。あるとないとでは大違い(というか、私は Ghostscript を単体で使ったことはありません)なので、いっしょにインストールしましょう。では、ここからそのインストール手順を説明していきます。

と、その前に!

 新しい Ghostscript をインストールする前に、「美文書」からインストールした古いバージョンの Ghostscript は必ずアンインストールしておきましょう。以前のバージョンが残っていると、インストールはできても正しく動作しない可能性があります。[アプリケーションの追加と削除] メニューから「AFPL Ghostscript *.**」と「AFPL Ghostscript fonts」の2つを削除してください。また、C:/gs というフォルダも削除しましょう。

7-3-2-1.GhostscriptとGSviewのダウンロード

 まずはインターネットから Ghostscript と GSview のパッケージをダウンロードしましょう。 RingServer から gs707w32full.zip gsv48w32.exe の2つのファイルを「デスクトップ」あたりにダウンロードしてください。

7-3-2-2.Ghostscriptのインストール

 では Ghostscript 7.07 をインストールします。ダウンロードしたgs707w32full.zip をダブルクリックし、解凍します。出てきたフォルダの中の setupgs.exe がインストールプログラムです。これをダブルクリックして起動します。最初の画面で [setup] をクリックするとインストール先を選択する画面になります。ちなみに、下の段の All Users というチェックも入れておいたほうがいいでしょう。

2003.12.26 Ghostscript をインストールする時、お使いのコンピュータのユーザ名が日本語(鈴木など)になっていると、インストールに失敗します。その場合は、環境変数で設定されている TEMP の値を変える必要があります。詳しくは、FAQ の12を参考にしてください。
installing gs
Ghostscript のインストール

 右下の [Install] を押せばインストールが始まります。終了するとショートカットの入ったフォルダが開きますが、これは閉じて構いません。これで ghostscript7.07 のインストールは終了しました。では次に、GSview のインストールをおこないましょう。

7-3-2-3.GSviewのインストール

 GSview のセットアップ・プログラムは先ほどダウンロードした gsv48w32.exe です。これをダブルクリックして起動します。はじめに現れるウィンドウでは setup を選択します。するとファイルが展開されて、まず言語を聞かれますが、大方の人は English を選択しておくのが無難でしょう。言語を選択すると、インストールするフォルダなどを聞いてきますが、すべて[Next] 連打でかまいません。最後に[Finish]を選択すればインストールが始まります。例によって、インストール完了後に開くウィンドウは閉じて構いません。

7-3-2-4.環境変数の設定

 Ghostscript を正しく動作させるには、Windows にファイルのありかなどを教えてあげなければいけません。これが環境変数の設定です。

 (1)Windows2000、XP の場合
  for win2000 から [設定] - [コントロールパネル] - [システム] - [詳細] - [環境変数]とたどってください。PATH の値に

;c:/gs/gs7.07/bin;c:/gs/gs7.07/lib

という文字列をかならず;(セミコロン)から追加してください。ただし、1章ですでに環境変数の設定をされた方は、ここで設定する必要はありません。

 (2)Windows Me の場合
  Windows Me では、 for winme から [ファイル名を指定して実行] を選択し、ダイアログに msconfig と入力します。そのあとは上の 2000、XP と同様の手順で変更できると思います…たぶん(^^;)

以前に Ghostscript をインストールしたことがある方(「美文書」にも含まれています)は、PATH にすでに設定がなされているかもしれません。その場合、新たに上の1行を書き加えるのではなく、すでにある部分のバージョン番号(5.50 とか 7.07)だけを書き換えてください。また、7.07 以前の GS ではPATH とは別に GS_LIB という変数が必要でしたが、現在では必要ないので、環境変数の窓の中に GS_LIB があれば削除してください。

7-3-2-5.dvioutの設定

 つづいて新しくインストールした Ghostscript を dviout に認識させます。dviout を起動して、[Option] - [Setup Parameters] - [Graphic] を開きます。Graphic タブの中ほどにある gsx: というボタンを押してください。「Automatic Search?」と聞かれるので「Yes!」と親指を立てて応じてください。たぶんすぐに C:\gs\gs7.07\bin\gswin32c.exe という文字列が入ると思いますので、あとは下の [Save] を押し、[適用] を押し、[OK] で閉じてください。

7-3-2-6.GhostscriptでPDFを作るための設定

 Ghostscript を使えば、例えば PS プリンタドライバから作成した Word 文書の Postscript ファイルから PDF をタダで作ることができます。ただし、そのためにはここまでの設定に加え、さらに若干の作業が必要ですし、実際問題心理学科で PDF を作る必要がある人もあまりいないと思うので、ここでは詳しい解説をしません。興味のある方は奥村先生の 「Ghostscript の設定の続き」や大友さんの「ちょっと大変な設定作業...前半」などを参考にしてください。
 TeX から PDF ファイルを作る場合は、dvipdfmx を使ったほうがはるかに品質のよい PDF を作ることができます。

 これで、PS プリンタドライバ、Ghostscript、GSview のインストールがようやく完了しました。ではいよいよ、これらのソフトウェアを活用して TeX に挿入する EPS ファイルを作成しましょう!

7-4.EPSファイルを作る

 では EPS ファイル(.eps)を作りましょう。ここでは、Excel のグラフを PS プリンタに[印刷] ―得られた PS ファイルを GSview で EPS ファイルに変換、という手順について解説します。

7-4-1.PSファイルを作る手順

 とりあえず Excel を起動して、適当なグラフのあるファイルを開いてください。EPS ファイルにしようと思うグラフを一回クリックして選択(四隅に黒いポイントが表示されます)したら、メニューの [ファイル] から [印刷プレビュー] を開きます。すると画面いっぱいに大きくグラフが表示されるのではないかと思いますが、用紙が横置きになっているので、TeX で処理した時に正しく表示されません。そこで、上の [設定] から [印刷の向き] を縦に変更します。

print direction
印刷方向の変更

これで OK を押すと向きは正しくなりますが今度はグラフが用紙の縦いっぱいに間延びしてしまいます。これを直すためにはまた [設定] から今度は「グラフ」というタブをクリックして、「印刷するグラフのサイズ」という項目を「自動調整」に設定します。これで縦横のサイズが正しいままグラフを PS ファイルに印刷することができるようになりました。

graph size
グラフサイズの変更

 設定が完了したら下の [OK] を押して印刷しましょう。するとファイル名を聞かれますので、*.ps(eps ではなく)と入力してください。しばらく「印刷中」などの表示が出て、もとの Excel の画面に戻ります。これでPSファイルができているはずです。

※ただし、この方法で作った PS ファイルはなぜか Excel のファイルのあるディレクトリ(例えば My Documents/実験/実験A)には保存されないことがあります。多くの場合 My Documents に*.ps というファイルがあると思いますので、それを他の TeX や Excel のファイルがあるフォルダに移動してください。

 ところで、PS ファイルはできましたが、このままでは不都合な点がいくつかあります。このまま TeX に挿入することもできないではないですが、たぶんキレイには表示されません。そこで、Ghostscript と GSview を使って出来上がった PS ファイルを修正して EPS ファイルに変換します。

7-4-2.PSファイルをEPSファイルに変換する

 先ほど作った PS ファイル(.ps)を探します。Ghostscript と GSview がちゃんとインストールされていれば、 psfile icon というアイコンが表示されているはずです。先ほど Excel のグラフから作った PS ファイルであることを確認したら、ダブルクリックします。すると GSview が起動して、下の画面になると思います。うまくいかない、という人はもういちど上のインストール手順を確認してね。

open psfile
PS ファイルを GSview で開きました

 ここで、GSview の使い方についてチョロッと説明します。多くの設定は[Options]からおこないます。図中でチェックしてある項目を同様にチェックすると便利だと思います。また、 goto button ボタンでなんページかある PS ファイルを読み進めていきます。このほかについては、興味があればご自分で英語と闘ってください。

gsview option
GSview のオプション

 なお、上記メニューの [Advanced Configure] を選択して開くダイアログで、-dWINKANJI なるオプションを指定すると、GSview での表示・印刷がより高品位になります。これは、TeX 文書に EPS ファイルを取り込んで、dviout などで表示することには関係ありません。詳しい設定は W32TeX の「GNU Ghostscript 7.07 W32バイナリ」の項を参照してください。

ex. ad con
Advanced Configureの設定例

 では、PSファイルをEPSファイルに変換しましょう。変換は、[File] - [PStoEPS] メニューからおこないます。これを選択すると以下のダイアログが開きます。下の Automatically... は必ずチェックを入れてください。

pstoeps
PStoEPS のダイアログ

[Yes] を押すと保存先を選択する画面になりますので、適当なフォルダに **.eps と必ず「拡張子をつけて」保存してください。拡張子(.eps)がないと ** のみの変なファイルになってしまいます。保存したら、そのファイルを開いて、中身を確認してください。具体的には、画像の範囲を決める点線(BoundingBox)がキチンと画像にピッタリ接近しているか、用紙は A4 縦置きになっているかなどです。問題がなければ、これで TeX に挿入する EPS ファイルの完成です!(堺正章ふうに)……いや、ホントに長かった。

7-5.EPSファイルをTeXに挿入してみよう

 では、ついにグラフなどの図を TeX 文書に挿入しましょう。図を作る過程とは違って、こちらは非常に簡単な手順でグラフや刺激図形を表示させることができます。まず基本的な条件として、使いたいEPS ファイルが TeX 文書と同じディレクトリ(フォルダ)にあることと、プリアンブルで graphicx パッケージが読み込まれていることを確認してください。後者のプリアンブル云々というのは、\begin{document} の前に \usepackage[dvips]{graphicx} という一文が書いてあるか、ということです。このページから基礎実験用もとファイルをダウンロードして使っている方は心配無用です。問題がなければ、図を挿入したい部分に以下のコマンドを書き込めば EPS ファイルが表示される……ハズです。

\begin{figure}[h]
\begin{center}
\includegraphics[width=**cm,keepaspectratio,clip]{figure.eps}
\end{center}
\caption{図のタイトル}
\end{figure}

 コマンドの中の **cm には好きな(といっても常識の範囲内で)大きさを代入してください。また、.6\textwidth(文字幅の6割)というような相対サイズでの指定もできます。それから、caption に入れるタイトルには「図1:」などの通し番号は不要です。それはTeX がぜんぶ自動でやってくれます。たとえ前に新たに画像を入れて通し番号がずれる場合でも、コンパイルの際に TeX が自動で番号を付け直してくれます。ほんなごつ、すごかでしょ?てふは……となぜか九州弁。

 これで、レポートに図(グラフ)を入れるには、という当初の目的は達成できたハズです。ちなみに、TeX には EPS 以外にも JPEG や GIF、PNG など様々な形式の画像ファイルも挿入できますが、ほかの形式のファイルは枠(BoundingBox)が定まっていないため、そのままでは挿入することができません。それらの設定をおこなう方法は Web 上にたくさん(?)公開されていますし、私自身も FAQ の中で説明していますので、必要があれば参考にしてください。

 ここまでで、基礎実験のレポートはなんの不足もなく仕上がるはずです。見栄えは TeX だから最高、あとは中身の問題ですね。TeX で節約できた(?)時間で推敲を重ねて、より良いレポートを作れるように頑張ってください。なお、8章からはあまり実用的でないウンチクに近いことが書き連ねられていくハズですので、実用本位で TeX を使っている方はここまででブラウザを閉じてレポート制作に集中してください。いっぽう、「なんか TeX って難しいんだけど面白いかも…」と思い始めた奇特なアナタにはこのあとの駄文もきっとお楽しみいただけると思います。


ひとつ前にもどる  つぎに進む
目次にもどる