このコンテンツは、"歴史遺産"を戯れに復活させてみただけのものです。
今となっては、何ら実用性はありません。リンクなどもほとんど機能していないでしょう。
もし、WinShellなどとても古い環境をどうしても使わなければならないなどの事情があれば、
多少は参考になるかもしれません。
2018.01.30

9.おまけ-TeXを楽しむために-

9-1.よりよいレポートを作るためには

 ここまでに説明してきたことを使えば、基礎実験のレポートを TeX で作ることは難しくありません。しかし、ここまでの手順で出来上がるのは、TeX の機能のごくごく一部のみを用いたレポートです。もちろん、このままでも Word で作るよりも十分美しく仕上がりますが、TeX には文書を美しく組版するための機能がもっともっと含まれています。ここからはそれらの機能を活用して「美しいレポート」を作る方法を説明していきます。

9-1-1.英数字フォントを変えてみよう

 TeX の英数字フォントはデフォルトでは TeX の作者 Knuth 先生がデザインした Computer Modern というフォントなんですが、これはどーも科学論文に使うものとしてはちょっとばかりウツクシクナイです。図を見ていただければわかると思いますが、特に数字の5や各種の記号のデザインは個人的にはいただけません。

cmfont
Computer Modern フォント

 そこで、ここでは TX フォントをはじめとして、TeX に用意されている他のフォントパッケージを紹介していきます。

 まずはじめに挙げるのは、 txfonts パッケージです。 \usepackage{txfonts} で読み込みます。txfonts パッケージはすべての英数字を Times というフォントに置き換えます。Times は Postscript プリンタ(ドライバではなく)などにインストールされている高級な商用フォントです。この txfonts パッケージでは、ホンモノの Times ではなく、Ghostscript に付属してくる Times にそっくりな互換フォントを使って表示します。下に英数字を TX フォントで表示させたものの画像を置きます。ちなみに、 \usepackage{times} で times パッケージを読み込めばほとんどの英数字は Times フォントで表示させることができます。しかし、Σ をはじめとするほとんどの数学記号は Computer Modern のままとなります。 \usepackage{mathptmx} で mathptmx パッケージを読み込むと、ある程度の記号は Times に置き換えられます。

txfonts
TX フォント

 次に紹介するのは、PX フォントパッケージです。 PX フォントは TX フォントと同じ Young U. Ryu さんが作られたフォントパッケージで、Palatino フォント(Win2000 に標準添付)をベー スとしています。 \usepackage{pxfonts} で読み込みます。個人的には数字は TX フォント、アルファベットや記号類は PX フォント、というのがいちばんウツクシイと思うのですが、どうでしょう? さらに言えば数学記号は mathptmx がいいと思うんですが。

pxfonts
PX フォント

 また、 amsmath パッケージを使うと、行列や連分数(書いていてわかっちゃいないのだけど)などの複雑な数式を作ったり、 frak のような旧ドイツ文字を出力できます……レポートで使うことはまずないでしょうけどねちなみに、不等号 ≦ と ≧は amsmath パッケージを使わないと出力できません。では、お好みに応じてこれらのフォントを使い分けてください。なお、和文フォントはdviout ではデフォルトで MS 明朝と MS ゴシックを使うようになっていますが、これを例えばこのように変更する方法はFAQ の8に書いてあります。さらに、dviout に限らず、例えば \textmika{みかちゃん}などのコマンドで多くのフォントを使えるようにするには、多書体化パッケージをダウンロードして、お使いのパソコンにインストールしてください。さらに自分で任意のフォントを追加するには、大友さんの LaTeX で多書体を参考にしてください。

9-1-2.Labelを活用しよう

 レポートを書いていて、「平均値と標準偏差は以下のとおりであった(表1、図1)」などとすることが多くあります。この時に、直接「表1」などと書いていると、あとで図表を追加・削除しなければいけなくなった時に、いちいち挿入・削除した位置以後の「表7、図9」などを手作業で修正しなければいけません。これは文章が長く、図表が多くなればなるほど大変な作業ですし、修正忘れがつきものです。TeX の Label 機能を使うと、これらの参照情報を短いコマンドを書くだけで自動的に調整して、数字を出力してくれます。それでは使い方を紹介していきます。

 Label コマンドの書式はとても簡単です。参照情報を出力させたい章節、図表のコマンドの直後に \label{ラベルのタイトル} と書くだけです。これでその名の如くラベルが作成されて、そのラベルを読み出す \ref というコマンドによって番号が出力されます。具体的には……

\begin{figure}[h]
\begin{center}
\includegraphics[width=8cm,keepaspectratio,clip]{UFO.eps}
\end{center}
\caption{UFO(矢追純一撮影)}
\label{UFO} ←これがラベル
\end{figure}

とラベルをつけておき、「矢追氏はこの写真によって地球外生命体の存在を主張している(図 \ref{UFO})」と原稿に書いてコンパイルすれば、「…している(図1)」と出力されます。もちろん、その前の部分に

\begin{figure}[h]
\begin{center}
\includegraphics[width=8cm,keepaspectratio,clip]{plasma.eps}
\end{center}
\caption{大槻教授によるプラズマ理論のモデル}
\label{プラズマ}
\end{figure}

という図と「大槻教授はプラズマによって UFO 現象を説明できるとしている(図 \ref{プラズマ})」という1文が加われば、TeX がきちんと図番号を付け直してくれて、プラズマのほうは「している(図1)」となり、UFO のほうは「主張している(図2)」となります。ラベルを使いこなせば(ってほど大変なものでもないですが)、レポートにおける図表の相互参照が非常に簡単になります。修正忘れなどをなくすためにも、\label を使用することをおすすめします。

 また、\ref では章や図表などの番号を出力しますが、 \pageref というコマンドを使用すると、図表などのあるページ番号を出力します。具体的には……

\section{ロード}
\label{road:1}
ちょうど1年前…

\section{ロード〜第二章}
\label{road:2}
あの日 あの時 君と出逢っていなければ…

\section{ロード〜第三章}
\label{road:3}
声を出して泣きたかった あの夜君が消えた道で

(中略)

\section{ロード〜第十三章}
\label{road:13}
君にありがとう...。愛をありがとう...。

参考サイト(^^;)

とラベルを付けておいて、「この件については \pageref{road:8} ページを参照されたい」と書けば、「ロード〜第八章」という見出しがあるページ番号を出力してくれます。ただしこれは書籍のなかで使うことがほとんどで、レポートなどで使う必要はないようです(経験談)。

 ところで、これらの相互参照機能を使うには、少なくとも2回コンパイルを行う必要があります。それは、1回目のコンパイルで TeX がラベルを読み込んで、aux ファイルに内容を書き出すからです。そして、2回目のコンパイルの際にその情報を参照して dvi ファイルに番号が出力されるのです。まぁ、実際はそんなに難しいことではなくて、WinShell でならただ F5 ボタンを2、3回押してから dvi ファイルを開けばいいってだけのことです。1回コンパイルしただけで dvi ファイルを開くと、\ref の部分がすべて ?? として出力されてしまいます。

9-2.図表の作成を支援してくれるソフトウェア

 ここでは、レポートに載せる表やグラフを作成する際に便利なソフトウェアを紹介していきます。

Excelの表をLaTeX形式に変換するソフトウェア

 Excel2Tabular は、Excel で作った表を限りなくそのまま、TeX の表形式(tabular 形式)に変換することができる Excel のアドイン(マクロの一種)です。詳しくは上のオフィシャルサイトから圧縮ファイルをダウンロードすると、中にマニュアルが入っていますが、Excel で集計・計算した結果を tabular 形式に変換→そのままクリップボードに[コピー]して、WinShell などに貼り付けることができます。ただし、学校の端末室の PC に勝手にインストールしたらダメです!

また、フリーのオフィス統合ソフトである OpenOffice.org や、その製品版である Star Suite の表計算ソフト Calc から tabular 形式のコードを出力できる Calc2LaTeX も開発されています。

WinShellのTable Wizardを使う

 WinShell の新しいバージョン(2.2.1 以降)では、簡単な表を作成する機能が追加されています。WinShell 2.2.1 は公式サイトRing Server などからダウンロードできます。インストールする際は必ず、前のバージョンを削除してからセットアップしてください。Table Wizard は [Execute] - [Table Wizard] で起動します。ただし、罫線は直接書き込まなければいけないなど、あくまで簡易作表機能でしかないので、これを使うのであれば Visual Tabular を使用することをおすすめします。Visual Tabular については、6.レポートに表を入れるにはの項で説明しています。

gnuplot

 gnuplot はフリーでしかも高機能なグラフ描画ソフトウェアです。にゅーぷろっとと読みます。個人的にはもっともおすすめするソフトです。gnuplot はもともと UNIX のソフトでした(だから wundt にも入っています)が、Windows にも移植されています。Windows用の gnuplot は、W32TeX のページで配布されています。また、インターフェースを日本語化するキットが新潟工科大の竹野研究室のページで公開されています。コマンドラインから操作するソフトなので、ちょっととっつき辛いかもしれませんが、慣れるとけっこうサクサクとグラフが作れるようになります。また、作成したグラフをEPS や PDF, PNG, GIF などさまざまな形式で出力できるのも便利です。使い方については、 gnuplot tipsGNUPLOT の第一歩などを参照してください。また、「使いこなす GNUPLOT」(矢吹、大竹 2000)という書籍があります。また、私が書いたちょっとした解説(PDF)もどうぞ。

cos x
gnuplot で作った cos(x)のグラフ
3d graph
こんな三次元グラフも簡単に書けます
…使う機会はあんまりないんですがね

Ngraph

 Ngraph は gnuplot と並んで多く使われているグラフ描画ソフトです。科学論文用として十分なレベルのグラフをマウス操作主体で簡単に作ることができる…のがウリなのですが、Windows 版はシェアウェア(試用期間付きの売り物)です。かなり古いバージョンはフリーウェアとして公開されていますが、それはDOS 時代の代物で、マウス操作は一切できません。なので、Windows ユーザーには少し縁遠いかもしれません。じっさい、私もいまいち使い方がわからないです……。 Linux 版は最新のものもフリーなので、 HIP には全台標準でインストールされています。また、wundt にも入っているようなので、X-Win 32 で X-Window を開けば使えます。その方法は FAQ の4を参照のこと。

EPS-draw

 EPS-draw は、EPS 形式で出力可能なドローイングツールです。ベクトル形式の画像である EPS を出力できるソフトは、下段の Dynamic Draw や Adobe Illustrator などたくさんありますが、EPS-draw はごくシンプルな機能に限って設計されていますので、刺激図形やちょっとしたモデル図程度の描画には非常に適しています。また、画像の中のテキストには TeX のコマンドが(一部)利用できますので、TeX の数式やフォントを EPS 中で使用することができます。

Dynamic Draw

 Dynamic Draw は EPS に限らない、様々なフォーマットでの出力が可能な汎用グラフィックエディタです。絵心のない私にはよくわからないのですがレイヤやチップツールなどの機能が非常に豊富で、フリーソフトらしからぬクオリティです。詳細な実験装置やフローチャートを描く必要がある人には重宝するかもしれません。

9-3.TeXシステムの「趣味的」アップグレード

9-3-1.アップデートのススメ

 ここでは、TeX 本体や Ghostscript 、dviout や WinShell などの TeX 環境一式を最新のバージョンに更新することの「意義」みたいなことをひとしきり語ってみたいと思います。TeX に限らず、ソフトウェアをアップデートすることには2つのメリットがあります。それは、バグフィックス新機能の取り込みです。バグフィックスとは、その名のとおり、以前のバージョンに含まれていた不都合をアップデートして修正することです。TeX にもバグというものが(ごくまれに)存在し、ある特定の条件下で特定の処理(コンパイルなど)ができないことがあります。また、Ghostscript にも pdfwrite で PDF を作ると文字の配置がめちゃくちゃに崩れてしまう(8.00)などのバグが存在します。それらのバグは、次のバージョンではほぼ確実に fix されていますので、アップデートすることで問題が解決することがあります。

 また、もうひとつのメリット、新機能の取り込みについてですが、ひとつの例として dvipdfm を挙げます。dvipdfm は dvi ファイルから PDF を作成できるプログラムですが、日本語も通るようになったのは最近のことで、私が買った「美文書」第2版(今売っている「改訂第3版」のひとつ前の版)が発売された後のことです。そのため「美文書」付属のCD-ROM には dvipdfm もその拡張版である dvipdfmx も収録されていません。しかし、現在では dvipdfm は TeX の標準パッケージの一つとして配布されていますので、後述する方法で普通に TeX をアップデートすれば使用できるようになります。上のほうで紹介している TX fonts も同様に古い TeX システムでは使用できません。jsarticle などのクラスファイルにしても、「美文書」付属の古いものに比べて現在のバージョンでは体裁にもずいぶん改良が加えられて、より美しい文書が組めるようになっています。このように、アップデートすることのメリットは数多くあります。しかも TeX 関係のソフトウェアはほぼ全て(少なくともこのページで紹介しているソフトウェアは全て)無料ですので、アップデートに伴って支出が発生することもありません。

9-3-2.実際アップデートするには

 それでは、実際に TeX システムをアップデートするにはどうしたらいいのでしょう。基本的には新しいパッケージを取ってきて、それを古いものと置き換えるだけです。ですから、TeX で言えば現在の usr ディレクトリを削除して、新たに usr ディレクトリを作ってその中に最新のパッケージを入れればアップデートは完了です。慣れれば毎日でもできる簡単な作業です。そこまでする意味はあんまないけど。具体的な手順は、1-4.another way...インターネットからインストールするを参考にしてください。Ghostscript については、7.レポートに図を入れるにはの 7-3-2 を参考にしてください。また、いつ、どのソフトウェアがバージョンアップされたかについては、TeX WikiFTP サイトChangelog というファイルを参照してください。ただし、アップデートしたときに、usr 以下に置いていた自作マクロファイルまで削除してしまった、なんてことがないように注意しましょう。こ のようなことを防ぐためには、FTEX の複数の TEXMF ツリーを使う方法を参考にするとよいでしょう。

9-4.ホントにおまけ〜雑多なファイル集〜

 私が実用性というよりも趣味で作ったサンプルファイルやマクロなどを集めました。改変・追加・再配布はご自由にどうぞ。

9-4-1.顔文字マクロパッケージ 最終更新日:2003.9.5  ダウンロード (27.5KB)

TeX で (^^;) や (ToT)/~~~ などの顔文字を使用できるようにした kaomoji.sty を作りました。この kaomoji.sty では、\汗\怒 などのコマンドで計11種類の顔文字が出力できます。上のリンクから圧縮ファイルをダウンロードし、適当なディレクトリに展開してください。ただし、どこでもいいわけではないので、詳しくは同梱のドキュメント(dvi、pdf、ソース)をご覧ください。

ex. kaomoji
kaomoji.sty で出力できる顔文字(実際に dvi に出力したもの)

9-4-2.簡単インストールスクリプト 最終更新日:2007.01.07  ダウンロード (1.91KB)

 インターネットからダウンロードした TeX のパッケージをワンクリックでインストールできるスクリプト。詳しい使用法などについては1章4節を参照してください。右クリック - [編集] で開いてみればわかると思いますが、基本的にはただのバッチファイルで、難しいことはなにもやっていません。また、阿部紀行さんが配布しているインストーラのほうが、なにかと使いやすいかもしれません。

batch install
こんな感じで進んでいきます

9-4-3.基礎実験用もとファイル  最終更新日:2009.6.18  ダウンロード (1.18KB)

 基礎実験 II のレポートを TeX で書くためのもとファイル。中身の詳しい解説については5章を参照してください。ただし、解説ページを書いた時点からさらに修正が加えられている部分もあります。Geocities では .tex ファイルをアップロードできないので、テキスト形式(.txt)にしています。ダウンロード後拡張子を変更してください。

9-4-4.多書体化パッケージ  最終更新日:2006.2.12  ダウンロード (1.55MB)

 このパッケージでは、みかちゃんフォントなど、様々なフォントを使用するためのスタイルファイルや tfm などを提供します。詳しくは Readme をご覧下さい。ちなみに、目次のページでランダム表示されるタイトルも、これらのフォントを用いて作りました。下に、このパッケージで使用できるようになるフォントの一覧を示します。これらに加えて、任意のフォントを追加する 場合には、大友さんの LaTeX で多書体を参考にしてください。なお、このパッケージでは、例えばフォントごとの組版パラメータの調整など、高度なことは一切おこなっていません。

2004.2.23 新しい TDS(TeX のディレクトリ構造)に合わせて、内容を改めました。以前のものとは互換性がない(それで自分がまずハマりました^^;)ので、2004年2月11日以前にインストールした TeX では動きません。どっちみちこのパッケージ以外でも不都合が出てくると思うので、1章4節を参考に、TeX のアップデートをおこなってください。
ex. tasyotai
tasyotai パッケージで使用できるフォントの一部

9-4-5.prosper で「マタヨシメソッド」PPRmatayoshi.sty  最終更新日:2005.12.15  ダウンロード (118KB)

 prosper クラスで「マタヨシメソッド」なプレゼンをおこなうためのスタイルファイルです。サンプルはこんな感じです。
※なお、「マタヨシメソッド」とは、唯一神・又吉イエス氏の選挙ポスターのようなデザインでプレゼンテーションをおこなうことを、筆者が定義したものです。世間一般では誰も使っていないようですが(^^;)

9-4-6.WinShellのヘルプを和訳したもの 最終更新日: 2006.1.10  ダウンロード (PDF, 729KB)

(WinShellインストールディレクトリ)/WinShell.pdf を訳したものです。
ソースとか込みでダウンロード

 作者自身、ものすごく使い道のないパッケージ達だなぁと思うのですが、もしよかったら使ってあげてください。


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